29歳男 夢を持てたことで不登校から回復 いやなことはやらなくてい

 私は中学校の頃、不登校を経験しました。今となってはいい思い出です。
 
▼なぜ不登校になったか?
 私は田舎の私立の小学校に通っていました。その学校は、自然豊かな山奥にあり、子どもの自己決定、個性化、体験学習を原則とする学校でした。授業の内容は畑を耕して野菜を育てたり、畑でとれた野菜で料理を作ったり、木材を持ってきて自分たちで机や家具、時には家を作ったり・・・。公立の学校で”授業”と呼ばれるようなものは算数と国語くらいでした。
寮で生活し、周りの子どもたち、先生たちと、まさに同じ釜の飯
を食べる生活を送っていました。

 小学校を卒業し、東京の公立の中学校に入学しました。一言で表現すると、当時の私は環境の変化に耐えることができませんでした。
理科、音楽、美術といった、いままでの学校生活で触れてこなかったもの。流行っているもの、友達との距離感、誰一人周りに知ってる人がいない。慣れない授業、慣れない環境に耐えきれず、1年生の1学期の半ばで学校にいくのがつらくなり、登校しなくなってしまいました。
 
▼不登校の間の過ごし方
 それはもうひどいものでした。お年玉で買ったテレビゲームを朝までやって、眠たくなったら寝て、また起きてゲームして・・・。反抗期が始まったくらいの時期ですから、家族との会話もろくにせず、そんな生活が1ヶ月続きました。
どこにも居場所はなく、いまさら学校に行っても勉強も追いつけないし、この頃には学校に行くことを諦めていました。

そんな時、見かねた母親が救いの手を差し伸べてくれました。
 
 ある日、母親が突然「犬を飼ってみないか」と提案してくれました。「学校に行っていない分、犬の世話は自分ですること」「バイトできる年齢になったら自分で稼いだバイト代で養うこと」の条件付きで。私は小さい頃から動物が大好きで、正直当時の生活にも飽きていたので承諾しました。
 
1週間後には茶色のラブラドールレトリバー(♂)の子犬を家族に迎えました。とても明るい、表情のある子犬だったので、家族会議の結果、ランプと名付けました。
 
▼思わぬところにターニングポイントが
 生後2週間で家にきたランプ。一緒に寝起きし、数時間おきに離乳食を与え、トイレの世話をし、しつけをし、生後3ヶ月頃には
外でお散歩デビューしました。
外を歩いているとわんちゃんを連れている方とのつながりも自然にできるものです。
ある時に出会った方が、妊婦さんでした。お腹も大きくなり、そろそろ散歩するのがつらいから、うちの犬の散歩のバイトをしないか?と声をかけてくれました。
この頃にはもう学校に行くことも完全に諦めており、やることもないし、バイトすることにしました。
 
預かったわんちゃんを散歩していると、散歩代行をしている中学生がいることが近所で噂になり、「うちの子も!」とお願いされるようになりました。散歩やしつけ、ご家族が旅行中の世話などをやっているうちに、なんと最終的には10家族、13頭の世話をするまでになりました。1日のうち、7時間散歩している日もありました。
 
▼中学校の不登校は継続。でも・・・
 そんな生活をしながら1年が経ちました。
ある時、新聞を見ていたら盲導犬訓練士についての記事が載っていました。読み進めるうちに興味が湧き、自分もこんな仕事をしてみたいと思うようになりました。調べてみると、盲導犬訓練士の学校があり、受験資格が高卒以上でした。
勉強・学校というものから遠ざかっており、いまさら学校に行く気にもなれず。ただ、高校受験はしたい。
こんな話を両親に相談したところ、フリースクールに行くことになりました。
 
週2日はフリースクールで勉強し、後の時間はわんちゃんの世話をする生活をし、公立の高校に無事入学することができました。
 
 
▼最後に
 当初の予定とは違い、高校卒業してから動物系の大学に入学しましたが、現在は全く違う分野の仕事をしています。
いまでも不登校の時期のことをたまに思い出します。「あの時もう少し踏ん張って、普通に学校に行っていたらどうなっていたかな」と考えることもあります。

つらいいじめや、私のように環境の変化に耐えられずに不登校になった方がたくさんいらっしゃると思います。
学校に行かなくても、勉強も、人間関係もなんとかなります。
多様性の時代ですから、いろんな人生があっていいと思います。
つらいならやらなくていい。やりたいこと、好きなことをやったらいんです。きっと誰かが、あなたのことを応援してくれます。

誰かに届けばいいなと思い、この文章を書いています。ここまでお読みいただいたあなたのことを、私は応援しています。